キズナキャンプエージェントマニュアル

プログラム責任者
小山玲

キズナキャンプの前身は、「サンディエゴ州立大学（SDSU）International Summer Camp」として、かれこれ9年前に実施したのが始まりです。
当時はインターナショナルキャンプとして世界中から子どもたちを募集するのが目的でした。
しかしながら、世界各国からの応募が芳しくなく、2年目にこのままでは日本人だけのキャンプになってしまうという危機に立たされました。

当時、アメリカの公立高校での海外研修を実施していたこともあり、この状況を知ったサンディエゴ地元の公立高校の日本語教師の方々より、アメリカ人との交流キャンプを提案いただきました。「日本語を学ぶ生徒が夏休みに何もしないよりも、生徒たちが学んでいる日本語に触れる機会を作りたい」といった先生方の思いと、我々の危機が合致した瞬間でした。

当時は思いつきもしなかった発想で、地元の先生方のアイデアに救われたのをよく覚えています。

初めての交流キャンプは、失敗もありました。
英語の授業にアメリカ人高校生をどのように関わらせればうまく授業を進められるのか、英語講師陣にそのノウハウがありませんでした。それもそのはずです。外国人に英語を教えるプロフェッショナルであっても、ネイティブも入る授業形態を経験したことがなかったからです。
しかし生徒同士は、アクティビティを通して深い交流をしていました。
我々も改善ポイントがどこにあるのか、そして本当に大事にしなければならない交流ポイントは何であるか見出すことができたキャンプでした。

2年目は、サンディエゴの公立高校の先生にも協力を仰ぎ、アメリカ人高校生も入った英語授業プログラムの監修をいただきながら、英語授業のノウハウ化ができました。

そして、2016年からキャンプ名を「キズナキャンプ」と改めました。
日本人の子どもたちとアメリカ人の子どもたちのKIZUNA（絆）はもちろんのこと、我々が長年、多くの方々にご協力いただいた絆でつながってきたキャンプです。

2019年から、キズナキャンプでは英語授業を思いきって取り止めました。これまで英語授業を実施していた午前中の時間は、アメリカ人高校生と一緒に課題に取り組むワークショップに変更しました。拙い英語力であったとしても、ありとあらゆる手段を使いながら、参加者たちは先生や友だちに見聞きしたり、調べながら英語でチーム一丸になって課題を解決していく毎日を過ごしました。英語力だけでなく、双方の生徒のコミュニケーション力が短い期間に飛躍的に伸ばすことができたのではないかと思います。日本人の参加者だけでなく、アメリカ人高校生の双方にとって、深い交流をするきっかけとなりました。

我々も日本人中高生、そしてアメリカ人高校生との交流を見ながら、毎年、学ばされることがたくさんあります。
毎年、参加する子どもたちの笑顔や、涙・涙の別れを間近に見ていると、続けていかなければならないキャンプであると、2024年に向けて新たなパワーが湧いてきます。

いよいよ今年のキズナキャンプも始動します。
今年もたくさんの参加者の笑顔、かけがえない交流を見ることができるよう、スタッフ一同、綿密な準備を進めて参ります。